【ビニールハウス】ビニールどれにしたらいいの?【塩ビとPOの違い】【選び方】

農業関係
hiroshi nomuraさんによる写真ACからの写真
「スポンサーリンク」

ビニールハウスのビニールには大きく分けて 2つの素材(種類) があります。

素材の選びかたの一つに、ビニールハウスの構造から選ぶ方法があります。

今回はビニールハウスで使われるビニールの2つの素材を紹介し
素材の特徴や、ビニールハウスの構造、注意点などを紹介したいと思います。

「スポンサーリンク」

ビニールの2つの素材

農業用ビニールハウスのビニールには大きく分けて下の 2つの素材 があります。

  • 塩化ビニル
  • ポリオレフィン

塩化ビニル

塩化ビニルは
ビニール、農ビ、塩ビ などと呼ばれていて、歴史が長く現在も使われている従来型のビニールです。

写真のように
ビニールハウスの奥行方向に、アーチパイプに添って黒い紐を使ってビニールをおさえているのであれば、塩化ビニルを使用している可能性があります。

このタイプのビニールハウスには塩化ビニルが適したハウスになります。

塩化ビニルについてもっと詳しく知りたい場合は、日本ビニル工業会というサイトが参考になると思います。

塩化ビニル樹脂は、「塩素」と石油からできる「エチレン」を反応させてできる塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)を付加重合させて合成されます。

日本ビニル工業会

ポリオレフィン

ポリオレフィンは ポリオレフィン系樹脂 でできています。

POフィルム、PO(ピーオー)、などと呼ばれています。

塩化ビニルの次に開発された製品で、耐久性がより優れています。

写真のように
ハウス奥行方向に「ビニペット」部品を取り付けている場合は、ポリオレフィン系のフィルムを使用している可能性があります。

このタイプのビニールハウスには、ポリオレフィン系のフィルムが適しているハウスになります。

ビニールとPOフィルムの特徴と比較

塩化ビニルをビニール ポリオレフィンをPOフィルムと呼ばせていただきます。

ビニール

ビニールは伸びやすく、しなやかなため 扱いやすい製品です。

一般的にビニールを使用しているビニールハウスは、天井に1枚 サイド(腰周り)に1枚の
計2枚で張られています。

サイド(腰周り)のビニールは、直管パイプに吊るして
天井のビニールは、「パッカー」という部品と
黒い紐をアーチパイプに添って伸ばし、おさえて固定します。

ハウス構造がシンプルでビニールも扱いやすいため、一般的に張替作業性がやりやすいです。

耐久性は環境にもよりますが張りっぱなしで 1年~2年程度 が張替目安となります。
必要ないシーズンはビニールをはがし保管するといったこともできます。

比重としてはPOフィルムと比べ重いです。


工業用コーンスターチ

ビニール同士が張り付かないようコーンスターチという白い粉がついています。

張替完了後は時間とともに取れていきます。

人体に害はありませんが、たくさん付いていますので張替作業の際衣類につきやすいです。


継ぎ加工

ビニールは幅と長さを決めて製造されます。

一般的に幅の長さについて
幅4mを超えてくると「継ぎ加工」という加工が入り
ビニールとビニールをつなぎ合わせることで、広幅のビニールを製造します。


POフィルム

POフィルムはビニールと比べると、手触りがしっかりしていて硬い印象です。

POフィルムを使用しているハウスは、間口1枚、天井1枚、サイド1枚、と
ハウスの面ごとに張られています。

写真のように「ビニペット」に黒いなみなみした部品(スプリング)をハウス全体に取り付け、
POフィルムを固定していきます。

ビニールを使用したビニールハウスと比べると、構造と張替作業が複雑になります。

POフィルム(厚み0.15mm)は一般的に5年耐久となっています。環境にもよりますが8年ほど持つ場合もあります。

基本的に継ぎ加工はなく、1枚物で仕上がります。張り付き防止のコーンスターチも付着していません。

ビニールどれにしたらいいの?

ビニールハウスの構造からすると「ビニペット」がハウス全体に取り付けられている場合は
POフィルムが適しています。

「ビニペット」が付いていないのであれば、ビニールが適しています。


POフィルムには 透明 だけでなく
ハウス内の太陽光を散乱させる散乱光タイプや、紫外線カット率を上げるタイプ
全く光を通さない遮光タイプ などがあります。

機能性が多いPOフィルムは色々な用途に合わせやすいです。


構造がシンプルで初期コストを抑えられるのはビニールになります。


巻き上げ式の換気をしたい場合はPOフィルムが適しています
(ビニールだとパイプに巻き付けたあとビニール同士が張り付きやすい)

「ビニペット」がないとPOフィルムは使えないの?

POフィルムのほとんどはパイプに吊るす「ハトメ穴加工」がなく
そのため「ビニペット」を使用し固定していくことが一般的です。

とは言いましても決まりはありませんので
「ビニペット」がなくてもPOフィルムを使うことは可能です。

この記事で紹介したビニールが適したビニールハウスに
(「ビニペット」が取り付けられていないビニールハウスに)
POフィルムを張った場合の注意点を 4つ 紹介したいと思います。


1. 黒い紐と相性が悪い

ビニールをおさえる黒い紐はPOフィルムと相性が悪く
擦れることでPOフィルムが破けやすくなることがあります。

2. パイプに吊るせない

POフィルムは「ハトメ穴加工」ができる商品がほとんどありません。
サイド(腰周り)を張る際は工夫が必要になります。

3. 換気がしにくい

POフィルムは素材が硬くゴワゴワしています。
腰周りのビニールをたくし上げてする簡易的な換気が
POフィルムはしにくくなります。

4. 巻き込みのごまかしがしづらい

ハウスのコーナー部分や間口の部分など、ビニールに比べ巻き込みの処理が大変です。


1 と 2 はPOフィルム用の抑えバンドがあったり、「パッカー」という製品で対策できます。

3 の換気については注意が必要です。

4 の巻き込みについては下の写真で参考になればと思います。

ビニールの様子です。巻き込みはそこまで目立っていません。

POフィルムの様子です。固いため、しわを細かく処理できていません。
フィルムの隙間には虫やゴミが溜まっています。

まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。

決まりはありませんので、最終的にどうするかは自由です。
そのうえでこれからビニール選びをする方のお手伝いになれば大変幸いです。

それではまとめに入ります。

ビニールハウスのビニールには 塩ビ と POフィルム という素材(種類)があります。
従来のが塩ビで、のちに開発されたのが POフィルム です。

POフィルムは高耐久というメリットがありながら
塩ビは初期コストが低く、その扱いやすさからまだまだ現役で活躍しています。

ビニールの選び方としてハウスの構造から選ぶ方法があり
ハウス全体に「ビニペット」が付いているのであればPOフィルムが適しています。
ついていなければビニールが適しています。

遮光や散乱光など機能性が豊富なのはPOフィルムです。

最後にビニールを使用していたビニールハウスにPOフィルムを使用する際の注意点を紹介しました。

ここで紹介した内容に一部誤りがありましたら申し訳ございません。
また、ご紹介しきれていない面もありますので
一つの参考として見ていただけ幸いです。ありがとうございました!

タイトルとURLをコピーしました